念願の秋が到来する…!!!
暑くも寒くもないカラッとした風に金木犀の香りに紅茶に読書。一年で一番良い季節。今年の東京は本格的な秋が到来する前に金木犀が咲いてしまいましたが…。季節どうなってしまうの
今回は秋のティータイムにオススメなお茶の本を紹介します。
お茶の歴史について書かれた本は色々ありますが、特に面白かったのがこちら。(版元ドットコムさんの表紙スクショです↓)

茶の世界史 〜中国の霊薬から世界の飲み物へ〜 ビアトリス・ホーネガー著
紀元前の中国神話から現代に至るまで、お茶を中心に見た世界史を描いています。
お茶の歴史について書かれた本は色々ありますが、この本が良かったのは歴史を正確に書きながらも、単なる事実の羅列ではなく、著者独自の視点で語られている所。歴史の本って起きた事象は同じでも、書き手によって微妙に違う印象を残しますよね。あ、そこで『!』入れる感じ…? みたいな。この著者はユーモアと問題意識とセンスで、ちっさい文字で300ページ近くあるこの本を飽きることなく読ませてくれます。
本編は第一部から第四部に分かれております。以下、各部の超個人的な感想です。タイトル以外に引用はございません。(故にすごい稚拙文です)
◆第一部『東から』
第一部は、お茶の始まり紀元前の中国神話から中国史、アジアの交易、日本の侘茶まで、お茶を中心に見たアジアの歴史が続きます。
茶葉を積んだラクダの隊商がシルクロードを行くのですよ… 中国は敦煌からタクラマカン砂漠を進みサマルカンドへ…!!実際は命がけの死のロードだったかもしれませんが、現代人には何故か惹かれるロマンがあります。
日本の茶の歴史では仏教と茶の伝来から千利休までが紹介されています。この著者はアメリカの方ですが、千利休と豊臣秀吉の微妙な関係、切腹という日本人以外には理解し難い文化、日本人の精神世界を、侘茶を通して正確に表現しています。そして、言いたいことははっきり書きつつも感じられる文化への敬意。
この、アジア民族・文化への敬意というのがこの本から一貫して感じられ、それは第二部『西へ』へと繋がります。
◆第二部『西へ』
第二部は主に1500年代以降、中国・欧米間の海上貿易でお茶を輸送する時代へと変わり、徐々にお茶が浸透していく(取り憑かれていくとも言う)欧米の歴史を中心に進んでいきます。
西洋独自の茶文化や、磁器、茶税、密輸、偽装茶、独占貿易…と、欧米でお茶の需要が高すぎる為に起きた様々な事件がてんこ盛りの内容。
中盤からは、一方的なお茶の需要増大に伴い、イギリスと中国の貿易の均衡が崩れていく様が生々しく描かれ、徐々に重い内容になっていきます。
この第二部内の「阿片仲買人」から「こじ開けられた中国」まで、阿片貿易によって中国が衰弱していく様が読んでいて非常に辛く、暗い気持ちになりました。
お茶の歴史の中で、まるでインディージョーンズのような冒険家として描かれることの多いロバート・フォーチュンに対しても、この著者は章の最後で容赦なく率直な意見を述べています。
イギリス東インド会社によるインドの植民地支配と、それに巻き込まれていく先住民族。茶のプランテーションで奴隷と変わらない、またはそれよりひどい扱いを受ける苦力(クーリー)達。目を背けたくなる、吐き気を催すような茶の歴史が、隠すことなく描かれています。
◆第三部『珍しい物、不明な事、間違った呼称と事実』
重い内容の第二部から一旦小休止というか、だいぶ楽しい内容になっています。ミルクティーを淹れる時はミルクが先か紅茶が先か、お茶に良い水とは、お茶の効能の話、ティーバッグの悪口などなど…お茶好きなら何処から読んでも楽しめるラインナップです。
◆第四部『茶の現在〜人々と地球』
ここまで遠い昔からお茶の歴史を辿ってきました。第四部ではその歴史の上に発生した現代の労働問題と環境破壊について書かれています。
第二部で、植民地支配下の茶園で働かされる苦力の話が出ていますが、それは決して遠い昔に終わった話ではないことを指摘しています。
インドやスリランカの現在の茶園は、かつて移住者労働によって築かれており、そこで働く人々が何世代にも渡って差別や貧困の悪循環から抜け出せていないと。
ここまでお茶にまつわる過去と現在の重すぎる問題点を提示されると、もうお茶飲むのやめようかな…という気になりそうですが、この本のすごい所は「諦める」ではなく、「私に何ができるか?」という前向きな気分にさせてくれる所です。無力感に打ちのめされるのではなく、消費者の少しの行動の変化が、問題を解決する大きな力になると読書を励まします。
第四部の最後は北部アッサムの先住民族、ジュンポー族(ジンポー族)が伝統的な茶栽培を復活させたことに触れています。かつて占領され未だ政治的な問題が山積するアッサムで、自分達の茶栽培に奮闘するジュンポー族やそれを支援する人々に希望を見出し、物語は締めくくられます。
この本は単なる茶の歴史本ではなく、植民地支配とは何だったのか、行き過ぎた利益追求の先に何があるのか、という社会問題を投げかけてくるような内容です。
日頃うまいうまいと飲んでいる紅茶の多くは、かつて支配され今も後遺症が残る国々で生産されています。数え切れない犠牲の上にこのお茶があると考えるのは紅茶好きにはキツイですが、知ることができて良かった。
出版は2010年とあります。16年後の現在、状況は少しでも変わっているだろうか。お茶好きに色々なことを考えさせる一冊です。
















































ルシアンキャラバンはお試しティーバッグで。







































